EU・日本の戦略的同盟が深化：貿易と経済安全保障が中心議題に

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第6回ハイレベル経済対話で、ブリュッセルと東京が技術、レジリエンス、そしてグローバルな安定に焦点を当て、パートナーシップを新たな段階へ

序章：新たな協力時代の幕開け

2025年5月8日、欧州連合（EU）と日本は、第6回ハイレベル経済対話（HLED）において、両者の共有する戦略的ビジョンを再確認しました。

このイベントは、経済安全保障、貿易協力、技術的レジリエンスの強化を強調するものであり、二国間関係における重要な転換点となりました。

対話は日本で開催され、EUの通商・経済安全保障担当欧州委員マロシュ・シェフチョビチ氏、日本の外務大臣・岩屋毅氏、経済産業大臣・武藤容治氏が出席しました。

このハイレベルな協議は、地政学的緊張、技術革新の変動、そしてサプライチェーンの脆弱性が高まる背景の中で行われ、EUと日本は経済的レジリエンス、ルールに基づく貿易、重要技術の保護におけるアプローチの調整を一層進めることとなりました。

変化する国際情勢：連携を促す要因

近年、経済と安全保障の懸念が融合し、国際政策における主要テーマとして浮上しています。

EUと日本はこのパラダイムシフトを認識し、経済政策がより広範な戦略的考慮と切り離せないものになったことを強調しました。

対話で取り上げられた主な世界的課題は次の通りです：

• 公正な競争を阻害する非市場的政策や慣行

• 特に国家補助によって支えられた業界における過剰生産能力

• 重要インフラにおける技術依存と脆弱性の高まり

• 一方的な保護主義措置によって緊張する国際貿易システム

このような状況の中、民主主義国家や価値観を共有する経済圏（EUや日本）間の協力強化が不可欠であるとされました。

G7などの多国間枠組みでの連携深化が、公正な競争、透明性、開かれた市場に基づいた国際秩序を推進する鍵となることが合意されました。

貿易分野の強化：経済連携協定（EPA）の役割

EU・日本間の経済協力の象徴的成果の一つが、2019年2月に発効した経済連携協定（EPA）です。

EPAは、二国間関係の基盤として機能してきました。

EPAによる主な成果：

• 双方間で取引される製品の関税をほぼ全廃

• 地方自治体を含む公共調達市場へのアクセス拡大

• 持続可能な開発に関する協力強化（環境・労働基準に対する拘束力ある約束）

• 地理的表示の保護により、特産食品や飲料の生産者が恩恵を受ける

対話の中では、EPAが引き続き相互の成長、技術革新の共有、投資促進を促していることが強調され、高水準の貿易協定として国際的な模範となっていることが再確認されました。

経済安全保障に焦点：強靭なサプライチェーンの構築

今回の対話の中心議題の一つは、経済安全保障でした。パンデミックによる供給の混乱、半導体不足、地政学的競争などにより、この概念の重要性が増しています。

シェフチョビチ委員は、経済安全保障担当大臣・城内実氏と会談し、重要サプライチェーンの保護と多様化に関する連携可能性を協議しました。

協力対象となる主要分野：

• クリーン技術に不可欠なレアアースや重要原材料

• 単一供給元への依存を減らすための半導体生産

• 新たな脅威に対抗するサイバーセキュリティ基盤

• 量子コンピューティング、AI、グリーンテックなどの共同研究開発

両者はアプローチを一致させることで、信頼に基づく産業エコシステムの構築、戦略的依存の削減、将来的な混乱に対する継続性の確保を目指しています。

技術主権と重要イノベーション

両地域は、技術が地政学競争の中心にあることを認識しています。

対話では、基幹技術の支配権の保持と、安全なデータガバナンスの重要性が強調されました。

協力が進められている分野：

• 新興技術の国際標準化

• プライバシーとデジタルトラストを尊重した国境を越えるデータ流通

• ハイテク分野におけるスタートアップへのイノベーション資金

• 学術・研究交流による共同ブレイクスルーの促進

これらの取り組みは、安全・革新・グリーンなデジタル経済の構築というEUと日本の共通の目標と合致しています。

国際ガバナンスと多国間主義への共通の誓い

対話を通じて繰り返し強調されたのは、多国間主義を守ることの重要性でした。

世界最大級の経済圏であるEUと日本は、世界貿易機関（WTO）への支持を再確認し、国際貿易機関の活性化に取り組む姿勢を明らかにしました。

一致した主な論点：

• 紛争解決メカニズムを含むWTO改革の推進

• 経済的強制措置や一方的な関税に対する共同対応

• グリーン技術移転や能力構築を通じた途上国支援

両者は、G7、OECD、国連といった国際機関において建設的な関与を継続し、法の支配、包摂性、相互尊重に基づく国際秩序の擁護に努めると誓約しました。

ヨーロッパ・デーと大阪・万博2025：実践的パートナーシップの象徴

シェフチョビチ委員の訪日は、EUの民主的価値を象徴する「ヨーロッパ・デー」と重なり、EU・日本関係の基盤となる理念を再確認する機会となりました。

委員は、大阪で開催中の万博2025も訪問しました。EUは150以上の国際参加者の一員として出展しています。

「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマは、持続可能性・革新・社会的包摂というEUの優先事項と深く共鳴しています。

委員は、日本がこの世界的イベントを主導していることを称賛し、文化や人と人とのつながりも戦略的パートナーシップの要であると述べました。

結論：グローバル協調の青写真

世界の構造が刻々と変化する中で、EU・日本ハイレベル経済対話における新たな誓約は、建設的な外交と経済的整合の青写真となります。

サプライチェーンの脆弱性からデジタル主権まで、多様な課題に直面する今、ブリュッセルと東京の協力は、信頼・透明性・相互利益に根ざした戦略的同盟が、より安全で繁栄した世界秩序を築く道を示しています。

継続的な対話、共有されたイノベーション、相互尊重を通じて、EUと日本は二国間関係を強化するだけでなく、21世紀の経済を形作る国際的規範の構築にも貢献しているのです。